Q.賠償額(被害者の受取額)の計算方法を教えてください


A.(賠償額の計算方法:一般例)

最終的な賠償額(被害者が受け取る金額)を決定する手順ですが、図のとおり、まず被害者が交通事故によって被った損害がいくらなのかを計算します。損害額の計算方法は、次の質問以下で説明します。次に、過失相殺です。追突事故や、車同士の事故で青色信号対赤色信号のような場合は、加害者の100%の過失となります。しかし、それ以外の多くの類型では、被害者にも落ち度が認められる場合があります。このように被害者にも落ち度が認められる場合には、例えば、被害者の損害額から20%減とするといった計算をします。これが過失相殺です。過失相殺の割合の認定は、実務上、別冊判例タイムズ「民事交通訴訟におる過失相殺率の認定基準」という本がよく使用されます。

 

また、被害者が事故前から有していた疾病や被害者の特異な性格等が損害の拡大に寄与した場合には、過失相殺規定が類推適用されることがあります(素因減額。)こうして過失相殺等を行った後に、加害者から既に支払ってもらっていた治療費やその他のお金を差し引きます。また、同じ事故が原因で自賠責保険や労災保険を貰っていたような場合も差し引かれます。これを損益相殺と言います。損益相殺は、過失相殺の後に行われることが多いのですが、健康保険からの支払等、過失相殺の前に控除するものもあります。

 

このように、最初に計算した損害額から、過失相殺等、損益相殺を行った後の残額が、被害者が最終的に受け取る賠償額となります。